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【歯科衛生士の働き方】産業歯科編 3年目の試練!アクシデント!

2021/07/03

カテゴリーブログ

ご訪問ありがとうございます。

~自分を知って相手を知ると楽になる~

歯科業界専門の伝え方コンサルタント もろほしりつこ です。

 

 

今日は、しばらく中断していたもろほしDH新人時代のお話の続きを聞いてください。

 

 

産業歯科活動を使命をもって頑張っていた3年目のお話です!!

 

 

 

 

ハインリッヒの法則!? 1:29:300

 

 

「ハインリッヒの法則」」とは、労働災害の分野でよく知られている、事故の発生についての経験則です。

 

 

1件の重大事故の背後には、重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れており、

さらにその背後には事故寸前だった300件の異常、いわゆるヒヤリハット(ヒヤリとしたりハッとしたりする危険な状態)が隠れているというもの。

 

「1:29:300の法則」とも呼ばれます。

 

 

さらに医療の現場での「ヒヤリハット」の言葉の定義はこうです。

 

「患者に被害を及ぼすことはなかったが、日常診療の現場で、"ヒヤリ"としたり"ハッ"とした経験を有する事例。」

 

 

具体的には、ある医療行為が

①患者には実施されなかったが、仮に実施されたとすれば、何らかの被害が予測される場合

②患者には実施されたが、結果的に被害がなく、またその後の観察も不要であった場合をさします。

 


人命にかかわる重大事故を防ぐには、日ごろの些細な取り組みが不可欠だということです。

 

 

 

 

たった一度だけ辞めたくなったアクシデント

 

産業歯科活動は、契約した健保組合の事業所をほぼすべて回ります。

 

それは、従業員の福利厚生の一環として行われるからです。

 

受診するかしないかはご本人の希望ですが、担当者から強く勧められることもあったようです。

 

 

 

私たちは班編成を変えながら、今日は札幌、一度東京に戻って来週は仙台、再来週は新潟と忙しく飛び回っていました。

 

仕事自体にはやりがいを感じ、職場の仲間は2~3歳違いの若い女性ばかりですから、出張は友達との旅行のようで、それはそれは楽しくて、とても充実した日々を送っていました。

 

 

そんな3年目のある日の出来事です。

 

 

 

場所は確か群馬県か栃木県..(両県の関係者の方うる覚えですみません)のとある工場に伺った時のことでした。

 

 

3年目なので、もう仕事は慣れています。

 

いつも通りに、お一人20分ペースで対応していました。

 

 

 

昭和の最後、まだ「かかりつけ歯科医」なんて言葉もない当時は、お口の状態に地域差やブルーカラーとホワイトカラーの差なんてものもかなりありました。

 

 

口腔内診査、歯肉の状態チェック、う蝕や歯周病の状態の説明、ブラッシング指導などは、どんな状態のお口であっても、かかる時間にそんなに大きな差はでません。

 

 

「差」が出るのは、前歯の犬歯から犬歯(いわゆる3から3)のスケーリングです。

歯石がびっしりとついている場合は、どうしても時間がかかるのです。

 

歯石の量だけではなく、その方の歯列不正や、歯石の硬さ、たばこのヤニなどの色素沈着の量にも左右されます。

 

 

 

が、もう新人ではありません!!

 

 

沢山ついている歯石、取りにくい歯列、ヤニもびっしり...

 

この状態に燃えるんです!!

 

 

「やってやる!!ピカピカにして喜んでもらいたい!!」

 

こんな風に思ったんだと思います。

 

 

 

 

その日、何人目かのその方の歯石をとっていた時です。

 

「あれ?!」

 

と気づいたときには、その方は椅子から転げ落ちて倒れていました。

 

大きな会議室の床の上でした。

 

私には何が起きたのかわかりませんでした。

 

仲間の歯科医師が飛んできました。

 

受付にいたその工場の看護師さんも飛んできました。

 

 

 

 

情けないことに、そこからの記憶はほとんどないんです。

 

 

 

          

 

 

何が起こったのでしょうか?

 

 

整理してみると

 

①私はその方のスケーリングをしていた

②すごく沢山の量で、取りにくいタイプの歯石で、ヤニもついていて…いつもより時間がかかっていた?

③歯石をとることに夢中になっていて、その方の「歯」だけを見ていた。

④その方の全身の様子、顔色の変化に気づかなかった

⑤その方が倒れてしまった

 

こういうことです。

 

 

 

 

その方が保健室に運ばれたのか、救急車で運ばれたのか、記憶がありません。

 

私は、自分の犯してしまったことの重大さに、ただただ怖くなって...

 

この後の記憶が本当にないのです。

 

 

 

 

 

その日にだったか、次の日だったか、私に届いた情報は

 

①その方は、先週まで「心筋梗塞」で入院していた。

②その日は、退院後の初出勤であった。

③その方は、再入院になった。

 

ということです。

 

 

 

担当の看護師さんからは、その方の状態を把握していなかった自分のミスだと謝られました。

 

仲間の歯科医師からは、そんな事情があった方だったから不幸な事故だった。でも、もっと早く気が付けなかったのか、と注意を受けました。

 

私自身は、その方の事情がどうであろうと、条件が悪かったのだろうと、一歩間違えればその方の命を奪っていたかもしれない重大な事故を起こしてしまったことを重く受け止めていました。

 

 

 

次の日からも、通常に業務は待っています。

 

 

ですが、その日を境に

「こんな私がこのまま続けていていいわけがない」

「いつ、辞めますと言おうか?」

そればかり考えていたような気がします。

 

 

 

3年目...仕事に慣れて、毎日楽しくて、充実していて

いい気になっていた?

調子に乗っていた?

慎重さを欠いていた?

 

 

1日10人、1週間に50人。1か月で200人。1年で2400人。2年で4800人。

 

3年目。

 

少なく見積もっても5000人を経験しての「事故≒アクシデント」でした。

 

 

5000分の1だから、起こるべくして起きた?

 

 

きっと、その前に起きていた「ヒヤリハット」を見過ごしていたんだと思います。

 

 

AEDもまだなかった時代です。

 

 

人命にかかわる重大事故を防ぐには、日ごろの些細な取り組みが不可欠だということを身を持って体験してしまった3年目の出来事でした。

 

 

 

 

 

いま、思うこと

 

その後、仕事を辞めることなくつづけたのですが、なぜ辞めなかったのか?

コチラの記憶も残念ながらないのです。

 

何だったんだろう?????

 

 

歯科衛生士がPMTC、SRPなど一人で対応するときに、患者様の顔色を気にしながらやらなければならないというのが私の学びです。

 

 

令和の時代ならば、患者様の高齢化も進み、何らかの持病をお持ちの方が多くいらっしゃることを想定すると、バイタルの確認を歯科医師の治療時のみでなく、歯科衛生士の対応時にも常時するのが理想だと思います。

 

 

 

歯科衛生士の皆さん、処置の際には「バイタルの確認」をしましょう。

 

 

 

前から気になっていることがあります。

 

歯科衛生士の処置の際に、患者様のお顔の上にタオルを縦長に折ったものを、目の上からお口の部分だけ避けて置くことがあるかと思います。

 

眼に異物が入り込むのを防いだり、お顔に水蒸気がかかるのを防ぐなどの理由があるとは思いますが、バイタルをとりながらでなければ、危険です。

 

 

 

患者様の顔色や表情が見えないままの処置は、事故につながる可能性があることを、私の事例を教訓にしていただけましたら幸いです。

 

 

 

今回、このエピソードは「初だし」です。

 

 

 

担当する学生に、今まで様々な経験談を伝えてきましたが、これだけは重すぎて学生に引かれそうで避けていました。

 

 

 

そこをあえて出したのは、やはり「同じ思いをするDHを出したくないから」です。

 

一人でも多くの方のお役に立ちますように祈っております。

 

 

 

 

願いは一つ

 

「世界中の全ての人のお口の健康を守りたい!」

 

 

                                             

 

 

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました!

 

 

 

 

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